戦後はまだ…90歳の元少年飛行兵


先日、山本宗補さんの写真展「戦後はまだ…刻まれた加害と被害の記憶」で、山本さんと少年飛行兵だった関利雄さんの対談を聞いた。


関さんが、飛行兵に志願をしたのは、16歳のとき。昭和15年に流行した「燃ゆる大空」という飛行兵の映画にあこがれ、志願したのだという。武蔵村山市にあった、陸軍飛行学校には1万人の応募があり、学科試験や身体検査、眼科の検診などを受けた末、合格したのは3000名ほど。それから1年間学んだのち、操縦士として選ばれたのは400人だった。関さんは狭き門をくぐり抜け、夢を叶えた一人だった。


飛行学校時代、航空記念日に駒込にあった自宅や、母校の上を飛び、皆が旗を立てたり、人文字をつくったりして歓迎してくれたことを懐かしそうに話していらした。


しかし、戦地での飛行は、「馬車馬のようだった」という。高度5000メートルを飛ぶと、機内は、マイナス30度になる。特別な装備もなく寒さと恐ろしさで震えた。寒さを忘れるのは、敵機をめがけて機関銃を撃ったときであったという。シンガポールでは、自らも機体を8発打ち抜かれ、あわや直撃という戦闘でB29を撃墜した。大空を飛びながら、夜の星や朝焼けの美しさも目には入らなかった。


戦闘が終わり部屋に戻ると、いつもどこかのベッドが空になり、また仲間が命を落としたことを知った。終戦の2か月前、部隊に特攻命令がくだった。


しかし、関さんにとって、もっと過酷だったのは、戦後であった。インドネシア領のレンバンでの抑留生活では、コブラでも、ニシキヘビでも動くものはなんでも食べた。中毒死で亡くなる者も多かった。骨に水がたまり、杖がないと歩けない状態であった。日本に帰国したあとは、「特攻くずれ」と呼ばれたこともあった。


2012年、関さんが撃ち落としたB29に乗っていた米兵の名前があきらかになった。搭乗員は全員死亡だった。来年には、遺族と面会の予定があると、話してくださった。


終戦から69年が経った今も、この写真展のタイトルの通り「戦後はまだ…」ということを痛感する。


写真展の会場には、50人の戦争体験者の肖像写真が展示されている。
戦争で孤児になった人、消えない傷を負った人、命乞いをした人々を殺さざるをえなかった人、戦後、戦犯になった人。


ここ数年で亡くなった方も多い。しかし、今もなお、生きている私たちに過ちを繰り返すなと訴えているようだ。


写真集「戦後はまだ…刻まれた加害と被害の記憶」には、さらに20人の戦争体験者の写真が加わり、ひとりひとりの体験談が掲載されている。生の体験を超えるものはあるまい。


ともすれば、概念的に語られがちな「戦争」とは、どんなものなのか。時代のスイッチを切る前に、ぜひ目に焼き付けておくべきだと思う。


この写真展は、8月10日まで浦和のギャラリー楽風(さいたま市浦和区岸町4-25-12)にて開催。8/22~23には、姫路市民会館(姫路市総社本町112番地)でも開催される。


また写真展の開催希望者も募集している。
http://homepage2.nifty.com/munesuke/exhibition/touring_exhibition.html


最後に、ストリートチルドレンを考える会から、平和を考えるチャリティパーティのお知らせ

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真夏のチャリティ・ラテンパーティ 
へいわって、どんなこと?~未来の子どもたちに残す世界を考える~


会員で絵本作家の浜田桂子さんの作品「へいわって、どんなこと?」を入り口にして、敗戦69 年目の夏に「真に平和な世界」について、みなさんと一緒に考えます。
絵本読み聞かせ&ワークショップのあとは、恒例の手作りラテン料理と400 年前の侍たちの世界旅を写真でたどる時間を楽しみましょう。


日 時 8 月9 日(土)6PM~10PM  
 6:00~6:45PM   絵本「へいわって、どんなこと?」をよむ
 6:45~7:30PM   ワークショップ「暴力とは?」        
 7:30~8:30PM   ディナータイム(9PM 以降も)      
 8:30~9:00PM スライドトーク「伊達侍と世界をゆくpart2」


場 所  池袋・がんばれ!子供村 2階  池袋駅より徒歩10 分 
参加費 1000 円(飲食代+現地NGO への寄付)
申込み info@children-fn.com もしくはfax:03-3818-0796  


※料理の準備のため、参加される方はできるだけ事前にお申し込みください。

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プロフィール

野口和恵

フリー編集者・ライター。児童書編集にたずさわるかたわら、国内外の子どもを取り巻く問題について取材。

著書に「日本とフィリピンを生きる子どもたちージャパニーズ・フィリピノ・チルドレン」(あけび書房)がある。


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